松枯れ防止/樹幹注入剤
種類名:ミルベメクチン乳剤
1.マツガード

商品名 マツガード
試験番号 SI-9601
有効成分 ミルベメクチン・・・・2.0%
農林水産省登録 第20403号
180ml×20×2  60ml×10×8

2.有効成分および性状

【成分】
ミルベメクチン・・・・・・・・・・・・・・・2.0%
M.A3 (10E,14E,16E,22Z)-(1R,4S,5'S,6R,6'R,8R,13R,20R,21R,24S)-21,24−ジヒドロキシ-5',6',11,13,22-ペンタメチル-3,7,19-トリオキサテトラシクロ[15.6. 1.14,8.020,24]ペンタコサ-10,14,16,22-テトラエン-6-スピロ-2'-テトラヒドロピラン-2-オン・・・・・・0.60%
M.A4 (10E,14E,16E,22Z)-(1R,4S,5'S,6R,6'R,8R,13R,20R,21R,24S)-6'-エチル-21,24-ジヒドロキシ-5', 11,13,22-テトラメチル-3,7,19-トリオキサテトラシクロ[15.6.1.14,8.020,24]
ペンタコサー10,14,16,22-テトラエン-6-スピロ-2'-テトラヒドロピラン-2-オン1.4%
有機溶剤、乳化剤等・・・・・・・・・・・・・98.0%

【性状】淡黄色澄明液体

3.有効成分の物理化学的性状(純品)

  M.A3 M.A4
分子式 C31H44O7 C32H46O7
分子量 528.68 542.71
外 観 白色結晶 白色結晶
融 点 212〜215℃ 212〜215℃
蒸気圧 1.3×10-5mPa以上 1.3×10-5mPa以上
溶解度・水(20℃) 0.88ppm 7.2ppm
溶解度・有機溶媒

メタノール
64.8g/L 458.8g/L
エタノール 41.9 234.0
アセトン 66.1 365.3
n-ヘキサン

1.4 6.5
安定性 熱・・・・・・安定
酸・・・・・・やや不安定
アルカリ・・・不安定
光・・・・・・不安定(特に直射日光下)

4.安全性

1.人畜毒性:普通物
項目 動物種(♂、♀) 原体(mg/kg) 製剤(mg/kg)
急性経口毒性
LD50
マウス♂ 324  3,188 
   ♀ 313 >5,000
ラット♂ 762 3,953
   ♀ 456 2,047
急性経皮毒性
LD50
ラット♂ >5,000 >2,000
   ♀ >5,000 >2,000

2.魚毒性
項目 動物種 原体 製剤
魚毒性
LC50
コイ 48hr:0.017ppm 48hr:0.86ppm
ミジンコ 3hr:>100ppm 3hr:>100ppm

5.マツガードの特長

1.有効成分は環境にやさしい天然物です。 6.いやな臭いがありません。
2.殺センチュウ活性が高いので、低薬量でも高い効果が期待できます。 7.容器が小さいので、運搬や使用後の容器の廃棄の費用が少なくて済みます。
3.効果の持続期間が長く、施用後少なくとも4年は効果が安定しています。 8.注入孔径が6mmと小さいため松樹体への負担が少なくて済みます。
4.薬量が少なく吸収性が高いので、短時間で注入でき、施工の効率化がはかれます。 9.普通物なので安全に使用でき、施工や保管管理が楽になります。
5.寒冷地でも効果は安定しています。  

6.作用特性

1.マツノザイセンチュウに対し高い殺センチュウ効果を示します。
 1)マツノザイセンチュウの薬液浸漬試験(基礎活性) 三共(株)農業科学研究所
   結果:ミルベメクチンの活性はA剤有効成分の200倍。

薬 剤 LC50(ppm)
ミルベメクチン 0.015
A剤有効成分 3.10
試験方法:マツノザイセンチュウ幼虫懸濁薬液中に薬剤を処理。
翌日、顕微鏡下で観察し、センチュウの運動性で生死を判定。


 2)マツノザイセンチュウ増殖阻害活性試験 三共(株)農業科学研究所
   結果:ミルベメクチンはきわめて低濃度でマツノザイセンチュウの増殖を抑制。

  ミルベメクチン 無処理
濃度*ppm 0.1 0.01 0.001 0.0001 ---
センチュウ数** 0 17 13,200 56,800 56,000
対無処理% 0 0.03 24.1 101.4 100
*寒天中(15ml)に均一に拡がったとしての濃度
**3区平均値
試験方法:PDA培地(9cmシャーレ)にボトリチス菌を増殖させ、菌体の上から薬液を2ml滴下しシャーレ全体に広げる。2〜3時間置いた後、センチュウ懸濁液(約100艘)を接種する。25度中で10日間置いた後、センチュウ数を顕微鏡下で調査した。

2.速効的に作用します。

3.抑制性神経系に作用しますので、作用発現とともにセンチュウの運動性が著しく低下します。



▲薬剤の注入

7.環境への影響

1.マツガードの樹幹注入樹周辺土壌および松葉による魚類への影響はありません。

2.マツガードを樹幹注入した松樹の根系が形成するシロから生えるマツタケの収量に影響はありません。採取したマツタケからミルベメクチンは検出されませんでした。

マツガード処理樹周辺(根の周り)の土壌および松葉の魚への影響

(1)マツガード処理樹周辺(根の周り)の土壌

  1)試験場所:山形県寒河江市森林公園内松樹

  2)土壌試料採取:
    ●試料-1  
  マツガード処理日: 平成11年1月28日に胸高直径約30cm、樹高13mの松樹に、マツガード4本を処理
  土壌採取日: 平成11年12月24日に処理樹の根圏内の土壌(サンプル-1)と根圏より1m位離れた場所の土壌(サンプル-2)を採取
 
●試料-2
 
  マツガード処理日: マツガード処理日:平成11年12月24日に胸高直径約22.1cm、樹高9mの松樹に、マツガード4本を処理
  土壌採取日: 平成12年1月21日に処理樹の根の周りの土壌(サンプル-3)を採取

  3)土壌中のミルベメクチン分析結果 三共(株)農業科学研究所
    魚毒試験に使用した処理樹周辺土壌中(サンプル-1,2,3)にミルベメクチンは検出されなかった。(表-1)

 表-1 処理樹周辺土壌のミルベメクチン濃度
  サンプル-1 サンプル-2 サンプル-3
ミルベメクチン 検出せず 検出せず 検出せず

  4)魚毒試験結果 三共(株)農業科学研究所
  試験日: 平成12年2月21日〜3月4日
  供試生物: グッピー(生後3週令)
  試験方法: 腰高シャーレに土壌10gと試験用水200mlを入れ撹拌、
静置後供試生物を放飼した。
  試験結果:

魚に対してミルベメクチンの影響は見られなかった。(表-2)

 
 表-2 処理樹周辺土壌の魚におよぼす影響
試料 供試数
(尾)
死亡数(水のpH)
3時間 24時間 48時間 72時間
サンプル1 20 0(6.3) 0(5.9) 0(5.7) 0(5.4)
サンプル2 20 0(6.1) 0(5.5) 0(5.4) 0(5.1)
サンプル3 20 0(4.8) 0(4.8) 0(4.7) 0(4.6)
無処理 20 0(7.4) 0(7.4) 0(7.4) 0(7.6)


(2)松葉の魚への影響
  1)試験場所:愛媛県林業試験場
  2)松葉の採取:
    平成11年11月9日にマツガード処理樹(平成8年2月20日)からサンプリングした松葉(サンプル-4)とその周辺地域の無処理樹から松葉(サンプル-5)を採取した。なお採取した葉は分析および魚毒試験時まで冷凍庫(-20℃)に保存し、試験直前に室温に戻して供試した。

  3)松葉中のミルベメクチンの分析結果 三共(株)農業科学研究所
   分析結果:表-3

 表-3 松葉中のミルベメクチン濃度
  ミルベメクチン
処理区(サンプル-4) 0.1ppm
無処理区(サンプル-5) 検出せず


  4)魚毒試験結果 三共(株)農業科学研究所
  試験日: 平成12年2月21日〜3月4日
  供試生物: グッピー(生後3週令)
  試験方法: 腰高シャーレに松葉5gと試験用水200mlを入れ1昼夜放置後、供試生物を放飼した。
  試験結果:

魚に対して、マツガード処理区の松葉(サンプル-4)は全く影響がなかった。(表-4)


 表-4 松葉の魚におよぼす影響
試料 供試数
(尾)
死亡数(水のpH)
3時間 24時間 48時間 72時間
処理区
サンプル-4
20 0(7.0) 0(7.0) 1(7.0) 1(7.0)
サンプル-5 20 0(7.0) 0(7.0) 1(7.0) 1(7.2)
水のみ* 20 0(7.4) 0(7.4) 0(7.4) 0(7.6)
*松葉をいれず、水のみでグッピーを放飼した。



|| マツタケに対する影響  平成10年 京都府林業試験場

(1)培養マツタケ菌糸に対する薬剤の影響試験
   1)試験方法: ミルベメクチンを添加した寒天平板培地でマツタケ菌糸を培養し、無添加の培地と菌糸の伸長量を比較した。
  2)試験結果: 菌糸伸長量は無添加区と比較して同程度であった。このことから、通常使用する濃度においてマツガードが菌糸の伸長へ及ぼす影響はないものと考えられる。(表-5)

 表-5 マツタケ菌糸のミルベメクチン濃度との関係
ミルベメクチン濃度(ppm) 10 50 100 無処理
平均直径(mm) 60.4 59.6 59.1 59.8
*無処理には、アセトンのみ添加

(2)マツタケ発生林分に対する影響試験
   1)試験地: 京都府船井郡瑞穂町字坂井地内
京都府林業試験場坂井実験林内40年生アカマツ林
  2)試験日: 平成10年2月27日に供試するシロに関与していると思われる全てのアカマツ22本にマツガードを胸高直径に応じて注入。(図-1)
  3)マツタケの採取: マツタケの採取:平成10年10月23、26日に、マツガードを処理したシロ(薬剤処理区)と処理しなかったシロ(対照区)から、それぞれ発生したマツタケを採取し、日本食品分析センターと三共(株)で分析を行った。
  4)試験結果: 1.平成10年度の実験林全体のマツタケ本数は平成9年度の70%であった。マツガード処理区から収穫したマツタケ本数は平成9年度と比較して減少しておらず、マツガードのマツタケ発生への影響はなかった。平成11年度も全体のマツタケ本数が減少する中、マツガード処理区のマツタケ本数は16本と増加しているのでマツガード処理2年後もマツタケ発生に全く影響は認められなかった。
2.マツガード処理区から収穫したマツタケから、ミルベメクチンは検出されなかった。(表-6)

 表-6 マツタケ発生本数
  平成9年 平成10年 平成11年
全体 122本 87本 76本
マツガード処理区 10本* 11本 16本*
*平成9年と11年はマツガード処理なし

 図-1 試験地の概要

8.使用方法

1.適用害虫の範囲及び使用方法

作物名

適用病害虫名

使用量

使用時期

本剤の

使用回数

使用方法

ミルベメクチン

を含む

農薬の総使用回数

まつ

(生立木)

マツノザイセンチュウ

胸高直径(樹幹部)

1015cm    60mL000

1520cm  60120mL

2025cm 120180mL

2530cm 180240mL

30cm以上は直径5cm

増すごとに60mL

増量する。

マツノマダラカミキリ

成虫発生前

まで

1

樹幹注入

1


2.樹幹注入処理方法
1) 松の幹の太さ(胸高直径)にあわせて、本剤の使用量を決めて下さい。
2) 胸高直径が大きい時や、薬液が入りにくい場合には加圧容器の使用を検討して下さい。
3) ノズルのキャップを取り外し、ノズルの先端を指で折り取って下さい。
4) ノズルをドリルであけた孔にしっかりと差し込んで下さい。
5) ドリルであけた孔の空気を抜くため、容器の胴の部分を2〜3回強く押して下さい。
6) 容器の底にある空気抜き穴に所定の針を刺し、空気穴をあけて下さい。
7) 薬剤注入終了後は容器を必ず回収して下さい。
8) 容器を抜き取った後は、コルク栓、木栓、癒合剤等で必ずドリル孔に蓋をして下さい。
9) 回収した容器は数量を確認して、所定の回収袋に入れ、本剤を外段ボールに収納して下さい。

9.使用上の注意事項<ラベルをよく読んで下さい>

(1) 庭園松は見かけ上胸高直径に比べ材積量が少ないことから、通常の薬量より少なめに注入すること。
(2) 本剤は1回の注入で4年間、マツノザイセンチュウによる被害防止効果が認められているので、必要に応じて4年毎に注入すること。
(3) 本剤はマツノマダラカミキリ成虫により伝播されるマツノザイセンチュウの侵入、増殖防止を目的とするもので、マツノマダラカミキリには効果がない。
(4) 樹脂流出に異常のある松や、葉が変色した松には治療効果がないので使用しないこと。
(5) 五葉松には薬害を生ずるおそれがあるので使用しないこと。
(6) 薬剤注入孔は、直径6.0mmのドリルで地上0.3〜1m前後の樹幹部に斜め下方に向けて深さ4〜5cm程度の孔とし、大きな節や横枝の直下は避けること。
(7) 注入孔を開けたら直ちに容器の先端を差し込み、容器の底に小孔を開けること。
加圧注入器を使用する場合は、加圧注入器のノズルをしっかりと注入孔に差し込み、所定の薬液を加圧注入器に移し替えること。
薬液が松の形成層に触れないように作業時に十分注意すること。
(8) 一樹に複数のアンプル又は加圧注入器を使用する場合は、注入孔を樹幹の周囲に分散させて注入すること。
(9) 孔の修復を早めるため、薬剤注入が終了した孔にはコルク栓、木栓、癒合剤等で蓋をすること。
(10) 薬剤の注入は晴天の日を選んで日中に行うことが望ましい。
(11) 注入後の容器は速やかに回収すること。注入終了まで要する時間は樹齢、樹勢によって異なるので注意すること。通常、早いもので1時間以内、遅いものでも3時間程度で完了する。
(12) 作業中、容器の破損を防ぐため取り扱いは慎重に行うこと。
(13) 本剤の使用に当たっては、使用量、使用時期、使用方法等を誤らないように注意し、特に初めて使用する場合は、林業技術者等の指導を受けることが望ましい。

10.人畜に有毒な農薬については、その旨及び解毒方法

(1) 本剤は眼に対して強い刺激性があるので眼に入らないよう注意すること。眼に入った場合には直ちに十分に水洗し、眼科医の手当を受けること。
(2) 注入の際は手袋、長ズボン・長袖の作業衣などを着用すること。作業後は手足、顔などを石けんでよく洗い、うがいをすること。
(3) かぶれやすい体質の人は取扱いに十分注意すること。

11.水産動植物に有毒な農薬については、その旨

(1) 本剤は水産動物に強い影響を及ぼすが、通常の使用方法では問題ない。
(2) 空容器は必ず回収し、水産動物に影響を与えないよう適切に処理すること。

12.引火し、爆発し、又は皮膚を害する等の危険のある農薬については、その旨

危険物第四類第一石油類に属するので火気には十分注意すること。

13.貯蔵上の注意事項

火気をさけ、直射日光の当らない低温な場所に密栓して保管すること。